アルザスワインのヴィンテージ

1997年

歴史的なヴィンテージ

天候

全体的に明るく温かい春だったものの、冬そして何よりも春に訪れた霜による被害を回復することが出来なかったために、萌芽は不規則で、多くのブドウ品種、特にゲヴルツトラミネールで花振るいが発生しました。

開花期は約2週間ほど早い6月10日頃に訪れました。比較的雨の多い6月と7月によって、ブドウの成長にブレーキがかかりましたが、8月の暑く晴れた天候によって、部分的に回復しました。

収穫

ワインの品質は、主に9月の気象条件の影響を受けます。9月の記録的な晴天が、ブドウの衛生状態に対する全ての不安を払拭し、この年は非常に健康なブドウが実りました。早熟な地域の所々で発生したブドウの劣化や雹による被害を受けたブドウは、この時期の涼しい夜と驚くほど暑く乾燥した日中によって、瞬く間に回復しました。

フランス気象局のコルマール支局にて観測された9月の日照時間は、253時間を記録します。比較材料として例を挙げるならば、記憶に残る1989年の日照時間は「わずか」159時間でした!

その後夏の間に溜まった地下の水源が、暑い初秋の役に立ったのです。

収穫時、例外的な天候条件の恩恵を受け、全ての品種は1989年の記録さえも超す、見事な成熟度に達しており、加えて素晴らしい糖度/酸度のバランスでした。

収穫開始日はAOCクレマン・ダルザスの品種が9月18日、AOCアルザスとアルザス・グラン・クリュの品種が10月1日。

この年は、ヴァンダンジュ・タルディヴおよびセレクション・ド・グラン・ノーブルの名称が正式に認定されて以来、最高の収穫量を記録しました。

全ての品種を合わせた収穫量は、1 204 000 hlで、過去5年間の平均収穫量に非常に近い数字です。

ワイン

最初の試飲が、ヴィンテージ1997の卓越した質を証明しました。
滑らかでエレガントなシルヴァネール。ピノ・ブランとトケイ・ピノ・グリは豊かで、時として過熟ブドウを感じさせる質感があります。リースリングは、非常に繊細なフローラル系のアロマが酸味ある構成と見事に組み合わさっています。ゲヴュルツトラミネールは丸く、魅力的で、この品種の特徴であるトロピカルフルーツのアロマを伴う成熟した味わいです。ピノ・ノワールは豊かな色合い、丸く熟したタンニンが特徴です。

アルザスワイン委員会(C.I.V.A.)
1998年2月

テイスティングノート

リースリング・クロ・ヴィンスヴュール1997-ツィント・フンブレヒト

クロ・ヴィンスヴュールは、ウナヴィール(Hunawihr)の高い場所に位置し、寒い気候のテロワールで、リースリングは標高約400mの畑で栽培されています。外観は、美しい輝きを放つ、やや密度の高い黄色です。バターと白いフルーツの香りを伴う、心地よい香り。厚みのある溶け込んだ酸味を伴う、ドライで高い密度のある味わい。完熟ブドウを使った非常にバランスの良い、素晴らしい熟成能力を持ったワインです。(2004年10月試飲)

グラン・クリュ・ゲヴュルツトラミネール・クロ・サン・ティメール・ヴァンダンジュ・タルディヴ1997-エルネスト・ビュルン

空気に触れるとややスパイシーさが漂う、ハチミツと花、黄色いフルーツのアロマを持つ大成功したキュヴェです。驚くほど純粋な甘さと強烈な凝縮感を伴う豊満なアタック。まろやかな味わい。現段階でも甘さの主張が強い、長期熟成向きのキュヴェ。(2005年4月試飲)

1996年とは非常に対照的なヴィンテージ。1997年は、熟成能力が非常に高く、非の打ちどころのないゲヴュルツトラミネールを生み出しました。リースリングの生産は、収穫開始日に関する終わりなき議論の問題に直面しました。最も寒い気候のテロワールのワインならば、長期熟成を約束するバランスの良さを見出せます。最高級のセレクション・ド・グラン・ノーブルを除けば、遅摘みのブドウには貴腐菌の付着が少なかったため、ワインによっては早く進化する甘口ワインに仕上がりました。

ティエリー・メイエ(Thierry Meyer)
2016年、エノテーク・アルザス、講師

アルザスワインのヴィンテージ

ブドウ収穫はその年によって変化します!毎年、自然の理とでもいうべき異なる気象条件がブドウ栽培者に課せられます。 年によって、これら気候の変化がワインの品質に影響を与えます。特にこれらの要素は、ボトルでの熟成に対してある種の指標を与えます。

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