減農薬によるブドウ栽培

有機栽培ブドウから造ったワイン

Introduction aux démarches de viticulture raisonnée et biologique en Alsace

ほとんどのブドウの病害は、19世紀後半に海上貿易を通じてヨーロッパに持ち込まれました。これらの病害に対し、べと病に対しては硫酸銅(「ボルドー液」として)、うどんこ病に対しては硫黄など、いくつかの一般的な化合物に効果があることが、非常に早い段階で判明していました。 

20世紀、あらゆる分野の全ての産業において、様々な技術またはテクノロジーの進化は、進歩と同一の意味にとらえられていました。そのためブドウ栽培の分野では、苗の栽培や病害対策の開発が好ましい現象として受け止められていたのです。しかし、 新世紀に突入し、新技術だからと言って全てが進歩であるとは限らないという認識が生まれたのです。その考えは、ブドウ栽培だけでなく、農業全般に浸透しました。

土地とは「先祖から受け継ぐのではなく、次世代から借りている!」このような新しい哲学から、持続可能なブドウ栽培または農業と言う概念が誕生したのです。消費者の健康に対する懸念、または次世代のための環境保護への取り組みが、現代社会の優先事項となったのです。 

ワイン生産者は、「減農薬栽培」、「リュット・アンテグレ」(農薬使用はできる限り避け、天敵を利用した生物防除や物理的防除)、「有機農法」、「バイオダイナミック農法」など様々な選択肢の中から、その信念や専門知識に応じて栽培方法を選ぶことが可能となっています。

減農薬ブドウ栽培

環境を考えたブドウ栽培とは、不要な薬剤散布はできるだけ避け、病害やブドウ畑の被害に関する現実的なリスクを考慮したうえで、治療の方針を決定するよう生産者に奨励しています。

このアプローチを通して、従来のブドウ栽培における農薬や化学肥料などの使用を「見直す」ことが、生産者に求められています。生産者は、農業アドバイザーからのより専門的なアドバイスまたは植物防疫研究所が提供する的を絞った推奨事項を参考にして目的を達することが可能です。 

2002年4月25日の政令によって、該当する組織に「認証者」としての役割を与え、「減農薬栽培を採用する農業従事者の資格」を得るための手順が正式化しました。 

該当政令によると、生産者は所有する畑全体に対して減農薬栽培の厳格な規定に従った技術的手段と栽培方法に従った農業を行う必要があります。

 この規定は、環境への尊重、衛生リスクの管理、従事者の健康と安全を基盤としています。さらに、自然の風景と生物多様性の保護に貢献する農業であることを目指しています。

有機農法およびバイオダイナミック農法によるブドウ栽培

いくつかの問題提起に続いて、1970年初期に最初の大ブームを迎えた有機農法またはバイオダイナミック農法による農業およびブドウ栽培。  

一部の農業従事者は、広く普及していた従来の農法には未来がないと感じていました。実際問題として、それは農村地域の砂漠化を加速し、北と南の国の間の不均等性を拡大し、常により多くのエネルギーを消費し、その結果として必然的に土壌や空気、水、景観の劣化を引き起こしていました。加えて、生産主義が動植物の生態系のバランスを乱し、農業従事者またはブドウ栽培者は、ますます農薬に依存するようになっていったのです。同時に、私たちは従来の農法によって生産される食品の品質に対し、栄養素は、どのような栽培方法か、社会に与える影響は?などとより多くの疑問を抱くようになったのです。 

このような危機感に直面し、「有機農法」によるブドウ栽培は、異なる答えをもたらすのです。これは大地・水・植物・空気・動物・植物間の相互作用を全体的に考慮した、視野の広い推論をベースとしています。これは、ブドウの「敵」を倒すのではなく、土壌を再活性化し、植物の自然の耐性力を高め、自然のサイクルを支えることで、生態系のバランスを取り戻し、「敵」を封じ込めることが目的です。主に、化学的に合成された全ての肥料及び農薬の使用を禁止しています。

有機農法によって、生態系を構成する全ての要素とブドウ栽培のつながりを考え、その意味の理解に努めているのです。そして、伝統的な栽培方法からだけでなく、近代になって判明した知識によっても、理解をより深めることができるのです。 

ブドウの有機栽培には、厳格な規定が存在します。「有機栽培ブドウのワイン」と表記するためには、生産者はフランス農務省と欧州連合によって承認された生産基準(cahier des charges)に登録する必要があります。この生産基準に従い、生産者は化学肥料や化学合成農薬を使用せずに栽培することを約束し、公的機関によって承認された認証機関による定期的な検査を受ける必要があります。 

「有機栽培」ブドウのムストは、ブドウ栽培にかける同じ情熱をもって醸造や熟成が行われます。醸造責任者は、ワインの自然な発酵を見守るため、介入を最小限に抑え、二酸化硫黄(SO2)は、必要不可欠な量のみ使用します 

20世紀前半、オーストリア人の人智学者ルドルフ・シュタイナーによって提唱されたバイオダイナミック農法と有機農法の目的は同じです。しかし、バイオダイナミック農法は、よりグローバルな視点から大地の中に宇宙の力を取り込むことを推奨しており、主に月の満ち欠けに従った宇宙のサイクルと関わりのある文化的慣行の実行を推奨しています。 

その結果、こうした様々な取り組みによって、農業またはブドウ栽培を孤立した要素として捉えるのではなく、動植物が支配する自然界とのバランスを維持しながら、食品を生み出す追加手段として捉えているのです。これは全て、地級と人類の健康を維持するという究極の目的のための努力なのです。