特筆すべき地質

比類なき土壌のモザイク

地質史

波乱に満ちた地質史によって誕生した変化に富んだ数多くの素晴らしいテロワール。アルザスには、第一紀から第四紀の間に構成された全ての地層が存在します。

地質史

今から1億5千年前、現在のライン地溝帯に当たる場所には海が広がっていました。そして、基盤岩(花崗岩)に砂岩や石灰岩、泥灰土などの堆積岩層を形作ったのです。

約5千年前の第三紀、ライニッシェス シーファーゲビルゲ (ライン片岩山地)と呼ばれる一帯が、最初はゆっくりと、続いて突然陥没し、現在のライン川周辺の沖積平野を形作りました。

これらの断続的な陥没によって、複雑な地質層と土壌のモザイク化が構成されていったのです。

続いて、海や川からの堆積物、さらに風化や浸食の働きによってさらなる複雑性が加わりました。

最終的に、アルザス側の地溝帯はヴォージュ山脈(花崗岩や砂岩、一部で頁岩)、ヴォージュ山脈の麓の丘陵地、驚くほどの多様性を誇るライン川周辺の沖積平野(泥灰土や沖積土)の3つに大別することが出来ます。

それだけではなく、4つの断層地帯(サヴェルグ、リボヴィレ、ルファック=ゲヴェウィレール、タン)によって、ブドウ畑がさらに分断化されているのです。

現在、ほとんどのブドウ栽培地は、4種または5種の異なる地質層の上に広がる非常に細かい区画が隣接しており、これが比類なき多様性と豊かさを誇る土壌のモザイク性を提供しているのです。

アルザスワインの並外れた多様性とは、この無限の組み合わせによって生まれているのです。

アルザスのテロワール

花崗岩土壌から石灰質土壌、粘土(泥灰土)、結晶片岩、砂岩土壌まで、まさにテロワールのモザイクと言えるアルザスの地質。約15500ヘクタールに広がる多様なテロワールが、数多くのブドウ品種を健やかに育て上げます。テロワールの特徴が、他のワインには見られない独自性と複雑性を重ね持つ表情をアルザスワインに与えているのです。

アルザスのテロワール

山脈の麓

1.花崗岩および片麻岩土壌:

ヴォージュ山脈の傾斜に位置し、火山岩または溶岩などの岩に亀裂が入り、風化して粗い砂に変化した真砂土と呼ばれる砂から構成されています。保水力の低いことが特徴です。この土壌の肥沃度は、そこに含まれる微量要素に左右されます。
化学的に酸性のテロワールからは、若いうちから表現力に富む、軽い質感のワインが生まれます。

2.頁岩土壌:

頁岩(けつがん)とは、地殻内の粘土が圧縮され薄く層状になった岩の事です。 
アルザス地方では比較的珍しく(アンドルーやヴィレ)、非常に肥沃な土壌です。このテロワールからは、爽やかさを軸に構成され、テロワールの特徴を備えた、長期熟成型のワインとなります。

3.火山性土壌:

3億年前、火山から噴出した溶岩や灰が水中で固結したことから生まれた土壌です。これらの岩は硬く、コンパクトで、簡単に風化することはありません。
地温保持力に優れ、岩でごつごつしたテロワールは、品種の特性を超越します。
スモーキーな香りを伴い、豊満で肉付きの良いワインが生まれます。

4.砂岩土壌:

砂岩とは、石英粒が固結してできたものです。地質学的には花崗岩と近く、酸性で砂状という同じ特性を有していますが、砂岩土壌では、その表現力が異なります。このテロワールからは、垂直にすっと伸びるようなしっかりとした酸味と控えめな香りのワインが生まれます。
また、ワインの持つ複雑性を楽しむには、長期熟成が必要となります。

ヴォージュ山脈の麓の丘陵地

5.石灰質土壌:

アルザス地方の石灰岩は、第二紀の海洋性石灰岩を意味します。この土壌が最も広がっているのは、ムシェルカルクおよびドッガーの区画です。石灰岩は簡単に風化し、非常に小石の多い土壌となります。化学的にアルカリ性のテロワールからは、酸味ある美しいストラクチュアが特徴のおおらかでどっしりしたワインが生まれます。若いうちは非常に閉じていますが、時と共にレモンのような風味を表現します。

6.泥灰土・石灰岩土壌:

この土壌は、泥灰土(マール)と石灰岩の分厚い堆積物から、ゆっくりと時間をかけてできる礫岩(れきがん)と呼ばれる岩から構成されています。泥灰土がもたらす力強さが、長く複雑な美しい酸味によって支えられています。
若いうちは寛容で、長い余韻が特徴のワインですが、熟成することでミネラル感が加わります。石灰岩の割合が多いほど、ワインにはより多くのフィネスが備わります。

7.泥灰土・砂岩土壌:

石灰質砂岩土壌に属する砂岩土壌の1種です。同じく第三紀の砂利ですが、この場合は砂岩質の小石となります。泥炭土がワインに力強さを与えると同時に砂岩が軽やかさをもたらします。砂岩土壌に比べるとより寛容で、泥炭土土壌よりも複雑なアロマを持つワインが生まれます。

8.泥灰土・石灰岩・砂岩土壌:

ヴォージュ山脈麓の丘に多い土壌。粘土、石灰岩、砂岩から構成されています。岩石の多様性によって、豊富なミネラル成分を含む土壌となっています。そのため肥沃で保水力が高く、深い土壌です。力強さをもたらす泥炭土に反し、石灰岩と砂岩は軽快さをもたらす要因です。この相反する構成を調和させるため、ワインは一定期間の熟成を必要とします。

9.石灰岩・砂岩土壌:

アルザス地方では比較的珍しい土壌です。一般的に石英の粒子が石灰によって固められた砂岩質石灰岩または石灰質砂岩を意味します。これらの岩が風化することはほぼありません。非常に多くの砂利や小石を含む土壌は、ミネラル成分の含有量が低くなっています。やや強烈なフローラル系の表現力を伴う、緊張感あるワインとなります。

10.粘土質泥炭土土壌

軟質でありながらもコンパクトなこれらの岩の主要構成物質は粘土であり、常に重く厚みのある土壌となります。粘土がもつ様々なミネラル成分を保持する能力によって、肥沃な土地になります。このテロワールから生まれるワインは、力強いストラクチュアを持ち、その潜在能力を発揮するには長期熟成が必要となります。白ワインであってもタンニンの存在を感じる事が出来るのは、粘土の含有量が高いためです。

平野

11.山脈の麓に位置する崩積土の土壌:

第四紀に構成された崩積土は、斜面基部の堆積物やヴォージュ渓谷からの流れ落ちてきた小石や崩落物です。非常に様々な物質が堆積しており、鉱物組成はもともとの岩石によって大きく異なります。そのため、このテロワールから生まれるワインは変化に富んでいます。

12.沖積土土壌:

平野に広がる土壌で、河川に運ばれ、低地に堆積していった物質(小石、砂利、砂、シルト)から構成され、渓谷からの崩落物に類似しています。しかし、砂や小石の表面が水流によって滑らかになった外観によって区別をつけることが可能です。その性質は、河川の流れとその水源によって大きく左右されます。

13.レス(黄土)およびローム土壌

レス(黄土)とは、第四紀氷河時代の堆積物が風によって運ばれてきたものです。淡い黄色のシルトであり、レシベ化作用によって、より粘土質で茶色がかったロームに変化します。他の土壌を覆うだけの非常に薄い層から数メートルの厚みのある層まで、その厚みは非常に変化に富んでいます。これら3つのタイプの土壌から生まれるワインは、ミネラル感を見事に表現します。爽やかさが特徴で、若いうちから楽しむことが出来ます。

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