アルザスワインのヴィンテージ
2011年
心地よい酸味のあるフルーティーなワイン
天候
この年は、厳しい冬(2010年12月26日はマイナス20度を記録!)、暑いとも言えるほど非常に暖かい春、乾期の後に大雨が続いた夏と、両極端な天候に悩まされました。
萌芽は4月の初め、例年より15日ほど早く始まりました。乾燥して日照に恵まれ、非常に暑い天候により、ブドウの生育が加速され、開花は例年より2~3週間早く、5月末に始まりました。開花期には素晴らしい天候に恵まれた結果、カビを原因とする病害のリスクを抑えつつ、結実が順調に進み、多くの場合大きな果実が実る運びとなりました。夏の初めは、湿度が高く涼しかったため、それまで早く進んでいたぶどうの生長速度がやや緩まり、不足気味であった水分が補われました。8月15日からは好天が舞い戻りました。
収穫
収穫開始日は以下の通りです:
収穫は最高の天候条件の下に行われました。発生したカビは風によって乾燥し、見事な凝縮感を確認できました。早熟なため通常は素早い収穫を要する地域を除き、ブドウ栽培者たちはより良いブドウの成熟度と衛生状態を手に入れるために待つという忍耐強さを発揮しました。アルザス地方では、9月中旬に非常に暑い天候に恵まれたことが幸運でした!醸造に特別な問題はなかったものの、収穫時には多くの選別作業を行い、カーヴでは冷却装置を稼働する必要がありました。
ブドウの実が蓄えた熱のため、非常に早く発酵が進んだためです。そのため、このヴィンテージの特徴であるアロマの潜在能力を保持するために、特定の作業が必要となったのです。
貴腐菌の発生に不向きな晩夏・初秋の天候により、ヴァンダンジュ・タルディヴ(21 000 hl) の生産量は、セレクション・ド・グラン・ノーブル (3 000 hl)の生産量を大幅に超える結果となりました。
全体的な収穫量は、収穫量が極端に少なかった2010年と比較して27%増の1 160 000 hlでした。その内訳は、AOCアルザスは840 000 hl、AOCクレマン・ダルザス275 000 hl、AOCアルザス・グラン・クリュ45 500 hlです。
ワイン
2011年のワインは豊かな果実味と爽やかさが特徴です。まろやかな甘味と心地よい酸味を持ち、早くに開くワインです。この年は、天候の変動に対処するブドウ栽培者の働きが素晴らしいワイン造りの決定要因であったことを忘れてはいけません。春に訪れた乾期や収穫期の高い気温への対応、収穫時の選別作業などがこのヴィンテージの成功の秘密なのです。
この年に大成功した例として、クレマン・ダルザスおよびシルヴァネールがあげられます。夏の初め、高い湿度に苦しんだピノ・ブラン、オーセロワ、ピノ・グリにとって、収穫日の決定が、その衛生状態を保つためのキーポイントとなりました。ピノ・グリは非常にフレッシュでフルーティーです。ピノ・ブランとオーセロワは、軽く爽やかです。ピノ・ノワールは非常に美しい色合い、絹のように滑らかなタンニンを感じさせます。収穫量のコントロールが、間違いなくリースリングの成功のカギでしょう。熟したアロマと酸味が特徴です。ミュスカはブドウをかじったような果実味を表現しています。ゲヴュルツトラミネールは、アルコール度の過剰な上昇を抑え、複雑なアロマを維持するため、発酵をしっかりと管理する必要が生じました。
アルザスワイン委員会(C.I.V.A.)
2012年3月