グラン・クリュ

ヘングスト

ヴィンツェンハイム

「雄馬」を意味するHENGST(ヘングスト)は、このテロワールから生まれるワインを時間を超越するエネルギーと共に、躍動の頂上へ運びます。

  • 土壌の種類 泥灰土・石灰岩・砂岩
  • 栽培面積(ヘクタール) 53,02
  • 畑の方角 南、南東
  • コミューン ヴィンツェンハイム
  • Altitude 270~360 m
  • ブドウ品種(割合%)
    • ゲヴュルツトラミネール 48%
    • ピノ・グリ 35%
    • リースリング 17%
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グラン・クリュ ヘングスト

ワイン

アルザスのブドウ品種はヘングストの土壌に非常に適しており、高貴品種だけでなく、ピノ・ノワールもこの特級畑の並外れた特性を存分に表現することが出来ます

テロワールへの取り組み

テロワールの特徴

ヘングストのグラン・クリュは力強く、複雑で、密度が高い味わいがあり、熟した酸味が特徴の余韻が広がります。年の経過と共に表現力が高まる長期熟成向きのワインです。

ブドウ品種やヴィンテージに関わらず、このようなタイプのワインを生産し続けることでヘングスト・グラン・クリュの生産者は、その名声を保ち続けているのです

リースリングは、熟した酸味による生き生きとした余韻につながる力強さを伴った、ミネラルの優れた複雑性を感じます。多くの場合は辛口、またはドライな味わいを楽しみます。
豊満でリッチ、力強く、密度が高いピノ・グリですが、リースリングと同じ酸味を余韻に感じます。
ゲヴュルツトラミネールとミュスカは並外れた複雑性、アロマ、豊満さ、力強さ、豊かさだけでなく、驚くほど爽やかな-ヘングストのテロワールが与える-余韻を有します。

年によっては、甘口、極甘口のワインを生産することが出来ます。「ヴァンダンジュ・タルディヴ」および「セレクション・ド・グラン・ノーブル」も、ヘングストらしい豊かさをより強く表現します。

このテロワールでは数十年前からピノ・ノワール(3.5%)が、力強く、複雑で、しっかりとしたストラクチュアの偉大な赤ワインを生み出しています。

グラン・クリュ・ヘングストは、生産者が土地の持つ雄馬のような力強さを手なずけることによって、あらゆる品種がその全ての表現することができる壮大なテロワールなのです。

個性的なワインを生む力強いテロワール

泥灰土土壌がもたらすボリューム感はおおらかでどっしりとしていますが、砂岩の入り混じったテロワールがワインに与える見事に溶け込んだ鋭い酸味と常にバランスが取れています。

ワインが持つ豊満で確固としたストラクチュアによって、それぞれの品種が、その味わいを存分に表現することが出来ます。

リースリングは包み込むような気品ある質感の中にきれいに造られた緊張感を備えています。これが飲む人に、生き生きとした印象を与えるのです。この印象は、凝縮感のある強烈な質感をもつピノ・グリやゲヴュルツトラミネールからも感じることが出来ます。しかし、この印象は口の中でミネラル感を同時に生み出し、余韻に残って広がるため、非常に飲み心地の良いワインとなります。

ロマン・イルティス
2012年度フランス最優秀ソムリエ & 2015年フランス最優秀職人賞(MOF)受賞

選び方とサーブ

若いうちは緊張感の主張が強いヘングストのワイン。しかし5年の熟成後、より落ち着いたストラクチュアに

基本的にミネラリーで非常に濃厚、おおらかな長い余韻。それぞれのヴィンテージは、そのおおらかさによって違いが生まれます。

早熟のヴィンテージ:丸い質感が火打ち石のミネラリーな緊張感や柔らかいストラクチュアに寄り添い、完熟したフルーツのアロマを漂わせます。ゲヴュルツトラミネールは、コリアンダーやドライフルーツの力強い香りと共に洗練されたバランス感を兼ね備えています。

晩熟のヴィンテージ:酸味の緊張感が質感のエネルギーに溶け込んでいます。そのため石灰質の小石から生まれるミネラル感が特徴となり、より軽快な表現力をワインに与えます。

ロマン・イルティス
2012年度フランス最優秀ソムリエ & 2015年フランス最優秀職人賞(MOF)受賞

お勧めのペアリング

ヘングストのワインが持つ厚みとボリューム感、力強さ、活力のバランスには、肉料理がよく合います。これらの特性が、白身肉や臓物系の料理が持つ美味しさを全て引き出してくれるためです。子牛の胸腺のフライ、腎臓のマスタード風味、子牛の骨付き肉、鶏のローストなどが、気品と凝縮感のあるグラン・クリュの質感に完璧にマッチします。

同様に、ワインが持つ緊張感とミネラル感が、海水魚の味わいを引き立てます。

ロマン・イルティス
2012年度フランス最優秀ソムリエ & 2015年フランス最優秀職人賞(MOF)受賞

Hengst szvardon civa
Hengst-2
Hengst3
Hengst2

グラン・クリュ ヘングスト

テロワール

自然

マンステール渓谷の南、アルザス平野の上、その頂上にホーランズブール(Hohlandsbourg)城がそびえ立つ山を背にした丘の上にヘングストは広がっています。散策者は丘の上から平野の素晴らしい景色だけでなく、特にすぐ近くにあるコルマールの眺めを堪能することが出来ます。恐らく監視することが目的であったと思われる古代ローマ時代の遺跡が、特級畑の中に残されています。

場所

ヘングストの特級畑の総面積は53ヘクタール。ヴィンツェンハイム村に広がっています。
特級畑は、東向きの丘の上にあり、中心部分に向かってくぼんだ円形劇場のような形を形成しています。斜面の勾配は場所によって変化し、丘の中心部が最も急勾配で、頂上と麓に向かってなだらかになっています。標高は270~360mです。

土壌

ヘングストは、漸新世の礫岩に茶色の石灰岩、砂岩、粘土が組み合わされた土壌です。
ジュラ紀ムッシェルカルクの石灰岩から形成された大量の小石が粘土と混ざり合っています。小石の存在により、ブドウの木が根を伸ばしやすい環境となっています。
構成する鉱物とその色、および斜面であることから、温まりやすい土壌です。有効水分量は平均的ですが、必要な時には礫岩が水を供給することが出来ます。

ミクロクリマ

ヴォージュ山脈で最も高い山(オネック、1362m)が、ヴィンツェンハイムの地域を西風から守っています。コルマールはフランスで最も雨の少ない地域で、年間平均降雨量は550mmです。ヘングストの丘は、ホーランズブールによってマンステール渓谷内を循環する冷たい風から守られています。これは、春霜の季節には欠点となってしまう条件ですが、幸いなことに、ヘングストにはこの欠点を補って余るほどの利点を備えています。

ブドウ品種

このテロワールは、特にゲヴュルツトラミネールの栽培に適しています。水の供給が適量であるため、ブドウがしっかりと熟すことが出来ます。その他の品種、ピノ・グリやリースリングの栽培にも適しています。現在のところ、グラン・クリュの品種には認定されていませんが、ピノ・ノワールの栽培にも向いています。

人々

生産者はこのテロワールから力強いと同時に寛容で、主張の強い特徴を引き出しています。786年の文献に初めてその名が歴史に登場するヘングスト。このテロワールは、雄馬(Hengstはアルザス地方の方言で「雄馬」を意味する)に匹敵する意志、力強さ、活力を備えるワインを生み出すことが出来ると言われています。

受け継がれる遺産

ヘングストを包括するヴィンツェンハイム(Wintzenheim)は、遠い昔からワイン生産地として有名で、その名は 「winzer」(ワイン生産者の意)が変化したものだとユベール・メイヤーは語ります。786年、マールバッハ修道院が受け取った寄付品目の中に初めてその地名が登場します。